「昨日は普通だったのに、今日は急に下痢っぽくなっている」
「猫砂を確認したら、ウンチがいつもより形のない軟便だった」
――愛犬・愛猫のこうした変化に、不安を感じる飼い主様は多いでしょう。
ただ、下痢以外の症状がなく、元気そうにしている場合は「すぐ受診すべきか、少し様子を見てもいいのか」と判断に迷ってしまうかもしれませんね。
実は、見た目は元気でも、下痢が体調不良の重要なサインとして現れていることもあります。
この記事では、犬や猫の下痢で考えられる主な原因、受診を考えたいサイン、動物病院で行う検査や治療について、わかりやすく解説します。

犬や猫が下痢をする主な原因|食事・ストレス・感染症まで幅広い
下痢とは、便の水分量が増えて、いつもよりやわらかい便や形のない便、水っぽい便が出る状態を指します。
犬や猫の正常な便は、適度に形があり、つかんでも崩れにくい硬さが目安です。そこから水分が増えると、軟便になったり、水様便になったりします。
下痢は病名ではなく、体の異常を知らせる症状のひとつです。原因は腸そのもののトラブルだけでなく、感染症や食事の不適合、膵炎や内分泌疾患など、消化器以外の病気が関係していることもあります。
日常の中にある下痢の原因
毎日の生活を見直し、下痢を引き起こすきっかけがないか見直してみましょう。
◆おやつや食事
おやつの与えすぎや脂肪分の多い食事は、下痢のきっかけになりやすい要因です。
とくに、フードを急に切り替えるなど食べ慣れていないものを急に口にすると、腸に負担がかかり、便がゆるくなる要因となります。
◆拾い食い・誤食
散歩中の拾い食いや、室内での誤飲・誤食も下痢の原因になります。
落ちている食べ物を口にしたり、食べ物ではないものを舐めたりかじったりして、お腹をこわすことも少なくありません。
何を口にしたかわからないときは、便の変化だけでなく体調自体も注意深く観察してください。
◆環境の変化によるストレス
引っ越しや新しい家族のお迎え、トイレの種類や置き場所の変更なども、犬や猫にとっては負担へとつながります。
一見すると小さな変化でも、ストレスがきっかけで便に影響が出やすく、とくに猫では環境の影響が消化器症状として見られやすい傾向があります。
さらに体質的な問題で、猫は便が硬くなりやすいため、下痢が見られる場合は、犬以上に注意深く様子を見る必要があります。
お迎え後すぐの下痢は要注意
一方で、下痢のなかには一時的なお腹の不調ではなく、適切な治療を必要とする見逃したくない病気が関係することもあります。たとえば、寄生虫・細菌・ウイルス等の各種感染症や食物アレルギー、膵炎や内分泌疾患などが挙げられます。
とくに、新しい家族を迎えた直後の下痢は、「環境の変化によるストレス」と思われがちですが、実はジアルジアなどの寄生虫感染が隠れているケースが少なくありません。
実際に、お迎えされ3日後には下痢の症状が出てきて当院に来院後、検便でジアルジアが検出された例もありました。
ストレスと病気による下痢は見た目では判断がつかず、とりわけ体力のない子犬・子猫は短期間で脱水が進むリスクもあります。
ペットショップや譲渡会、ブリーダーからお迎えした後に、下痢が起こった場合は様子見をするのではなく、まずは検便を含めた確認が、早期発見への近道です。
長引く下痢の背景にある病気|慢性的な下痢で考えたい重大疾患
数日でおさまる下痢もありますが、長引く場合や繰り返す場合は、一時的なお腹の不調だけではない可能性があります。
これらは下痢症状も見られる「気を付けたい病気」の一例です。
・食物アレルギー:特定の食材に反応して腸に炎症が起こり、下痢を繰り返す
・免疫介在性腸疾患:腸に慢性的な炎症が続き、下痢が長引く
・膵炎:嘔吐や食欲低下とともに、下痢が見られる
・子宮蓄膿症(メスの犬):子宮に細菌感染が起こって膿がたまり、その影響で下痢が見られる
・腸管型リンパ腫:慢性的な下痢や体重減少が目立つ
・消化管腫瘍:胃や腸にできた腫瘍が、慢性的な下痢や体重減少を引き起こす
このように、長引く下痢を「お腹が弱いだけ」と片づけてしまうのは危険です。
下痢止めで一時的におさえこんだとしても、原因そのものが残っていれば再発することがあります。
犬猫がんセンターを併設する当院では、身近な「下痢」という症状のなかに、腸管型リンパ腫などの重大な病気が隠れている可能性もあると考えています。
だからこそ、下痢を早期発見と適切な治療につなげるきっかけのひとつとして大切に捉え、消化器の不調だけでなく、消化管腫瘍をはじめとした重い病気の可能性も視野に入れながら診察を進めています。
こんな下痢症状には注意|便の様子と一緒に見るべきサイン
下痢が見られたときは「便がゆるい」という点だけで判断せず、便の状態や全身の様子まであわせて確認することが大切です。緊急性の高いケースもあるため、どのような下痢なのかを落ち着いて見ていきましょう。
緊急度の高い症状・サイン
次のような症状が見られる場合は、単なる一時的なお腹の不調ではなく、早めに動物病院への受診を検討してください。
・何度も続く水様便
・血便
・一度治っても何度も繰り返す
・嘔吐
・食欲が落ちている
・ぐったりしている
体力のない子犬・子猫、高齢の犬・猫や持病がある場合は半日待たずに受診を、成犬・成猫でも丸1日続く場合は受診してください。
また、これらに当てはまらなくても、下痢が気になったときは一度相談しておくと安心です。とくに猫では下痢自体が注意したいサインだと覚えておいてください。
受診前の確認のポイント
受診前には以下のポイントを整理しておきましょう。
✓ 便の形
✓ 便の回数、頻度
✓ いつから始まったのか
✓ お腹の張り
✓ 吐いていないか
✓ 食欲が落ちていないか
✓ 元気がないか
便の状態はいつもよりやわらかいだけなのか、何度もトイレに行って水様便が続いているのか、血や粘液が混じっていないかも、詳しく観察してみてください。
また、思い当たるきっかけを整理しておくことも役立ちます。「食事内容が変わった」「拾い食いをした」「お迎えしたばかり」「ストレスになりそうな出来事があった」などといった情報は、ぜひ獣医師にもお伝えください。
犬や猫の下痢で動物病院が行う検査と治療
動物病院では、一頭一頭の状態に合わせて下痢の原因を正しく見極めるため、以下の検査を実施します。
・問診: 症状の経過、食事内容、生活環境の変化などを詳しく確認する
・便検査: 寄生虫の有無や、消化の状態をチェックする
・血液検査: 炎症・脱水の程度や、内臓疾患(膵炎など)がないか調べる
・超音波検査: 腸の厚み、腫瘍の有無、他の臓器の異常を確認する
・レントゲン検査: 異物の誤飲、ガスや便の溜まり具合を調べる
下痢の治療で大切なこと
治療方法は原因によって異なります。
食事管理は、下痢が見られるときに広く行う基本的な対応のひとつです。
胃腸に負担をかけにくい食事に切り替え、便の状態を見ていきます。
さらに、寄生虫感染があれば駆虫、感染症が疑われればその治療、食物アレルギーが考えられる場合は食事内容の見直し、基礎疾患が見つかった場合はその病気に対する治療を進めます。
一般的には「下痢止めを処方して終わり」というイメージをもたれるかもしれません。
しかし、私たちはその子に今何が起きているのかを正確に見極め、根本的な解決につながる治療を行う姿勢を大切にしています。
はじめは単純な下痢と考えて、下痢止めを処方することもありますが、治らない場合や繰り返す場合などは、次の検査を進めて原因をしっかり突き止めることで適切な診療が行えるように常に心がけています。
まとめ|食事やストレスに関するご相談もお気軽に
犬や猫の下痢は、食事の変化やストレスでも起こる身近な症状です。しかしその一方で、寄生虫感染や食物アレルギー、膵炎、腸管型リンパ腫など、見逃したくない病気のサインとして現れることもあります。
とくに猫の下痢、長引く下痢、お迎えして間もない時期の下痢は、早めに相談しておきたい症状です。
当院では、下痢の背景にある原因を丁寧に探り、深刻な病気を見逃さないよう診療を進めています。
また、下痢は日常の食事や環境の影響を受けやすい症状でもあるため、食事内容や生活環境についても、飼い主様に寄り添いながら一緒に見直していきます。
気になる変化がありましたら、どうぞ当院にご相談ください。
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