犬・猫の体重減少は食欲不振だけが原因?病気の影響と受診の目安

「最近、抱いたときに軽くなった気がする」「背中や腰の骨が目立ってきた」と感じても、すぐに動物病院へ行くべきか迷う飼い主様は少なくありません。

体重は食事量や運動量などによって一時的に減ることもありますが、病気を背景に少しずつ減り続ける場合もあります。
特に、食欲不振を伴う場合や、高齢になってから痩せてきた場合は注意が必要です。

この記事では、犬・猫の体重減少の見方や考えられる原因、受診の目安についてやさしく解説します。

 

犬・猫の体重減少とは|一時的な変化と持続的な減少の違い

犬・猫の体重は、食事や水分の摂取量、排便・排尿のタイミングなどによって多少変動します。
そのため「1回の測定で少し軽かった」というだけでは、病気による体重減少とは判断できません。

体重の推移を把握するためにも、ご家庭でも月に1回を目安に定期的に体重測定をしてみましょう。
同じ体重計を使い、食事前など測るタイミングをそろえると、変化を比較しやすくなります。
測定日と体重に加え、食事量や食欲、嘔吐・下痢の有無も記録しておくと、体調を振り返る際に役立ちます。

大切なのは、同じ条件で測った体重が、数週間から数か月にわたって減り続けているかという点です。
引っ越しや食事の変更などをきっかけに一時的に食べる量が減っても、短期間で食欲と体重が戻り、元気や排泄に変化がなければ、経過観察を続けられる場合があります。

一方で、以下のような変化がある場合は、その理由を調べることが大切です。
・毎月少しずつ体重が減る
・背骨や腰骨が目立つ
・筋肉が落ちてきた

また、毛が長い犬・猫では外見からは体型の変化に気づきにくいため、背中や腰、肩周辺に触れて確認しましょう。

 

体重減少と食欲不振|食べる量と食べ方を確認しましょう

体重が減る理由のひとつに、食欲不振による食事量の減少があります。食事から得られるエネルギーが不足した状態が続くと、体に蓄えられた脂肪や筋肉がエネルギーとして使われ、体重が減っていきます。

食欲不振が起こる原因は、ストレスだけではありません。

以下のような不調や疾患が関係することがあります。
・口の痛み
・吐き気
・消化器疾患
・腎臓病
・肝臓病
・糖尿病
・甲状腺機能低下症

・感染症
・腫瘍性疾患 など

食べた量だけでなく、食事に近づくか、食べ物を口から落とすことがないかなど、食事前後の行動も確認しましょう。

例えば、食事の前まで来ても食べない、口に入れても落とす場合は、歯周病や口内炎などによる痛みが疑われます。
一方で、においを嗅いだあとに離れる、舌なめずりをする、よだれが増える場合は、吐き気のサインである可能性があります。

また、食べる量が変わっていないにもかかわらず体重が減る疾患も存在します。見た目や食欲だけでは、体重減少に気づきにくいことがあるので、定期的に体重を測り、客観的な数値で変化を確認しましょう。

食欲不振についてはこちらで解説しています

 

悪性腫瘍(がん)でも体重減少が見られることがあります

食欲不振や体重減少は、悪性腫瘍(がん)に伴って表れる症状のひとつです。ただし、これらの症状だけでがんとは判断できないため、診察や検査を通して原因を調べます。

食欲や体重の変化が、がんをはじめとする病気に気づくきっかけとなれば、その時点の状態に応じた検査や治療を検討できる可能性があります。

パル動物クリニックでは犬猫がんセンターを併設し、腫瘍性疾患の診断や治療、セカンドオピニオンに対応しています。理由の分からない食欲不振や体重減少が続く場合は、ぜひ一度ご相談ください。

犬猫がんセンターについてはこちら
がんについてはこちらで解説しています

 

犬・猫が痩せる主な原因|高齢の場合は加齢と決めつけない

体重が減る原因は、主に次の3つに分けられます。

 

食べる量が減っている

これまでお伝えしたとおり、環境変化によるストレスのほか、口腔内の痛み、吐き気、発熱、息苦しさなどによって食事量が減る場合があります。

また、体調だけでなく、食事環境も確認することが大切です。多頭飼育の場合は、ほかの犬・猫に食事を取られ、十分な量を食べられていない可能性もあります。

 

栄養を十分に利用できていない

慢性的な消化器疾患や膵臓の病気などがあると、食べた栄養を十分に消化・吸収できないことがあります。

糖尿病でも、食欲がある一方で体重が減り、水を飲む量や尿量が増える場合があります。

 

代謝やエネルギー消費が変化している

猫の甲状腺機能亢進症では代謝が活発になり、食べていても体重が減ることがあります。
また、慢性的な炎症や腫瘍性疾患などに伴って、体重や筋肉量が減少する場合もあります。

シニア犬・猫の体重減少
また、高齢になると筋肉量が少しずつ減ることはありますが、体重が減り続けている場合は、年齢による変化と決めつけないことが大切です。

高齢の犬・猫では腎臓病、心臓病、内分泌疾患、歯科疾患、腫瘍性疾患などのリスクも高まるため、食欲や体重の変化が続く場合は全身状態を確認していきましょう。

 

犬・猫の体重減少で受診を検討したいサイン

体重減少とともに次のような変化が見られる場合は、早めに動物病院へご相談ください。
✓ 数週間から数か月にわたって体重が減り続けている
✓ 食欲不振がある、または食事量が少しずつ減っている
✓ 食欲に変化がないのに痩せてきた
✓ 嘔吐や下痢を繰り返している
✓ 水を飲む量や尿量が増えた
✓ 尿や便に血が混じる
✓ 元気がない、呼吸が苦しそう、痛そうにしている
✓ 高齢になってから体重が減り始めた

まったく食べられない」「何度も吐く」「呼吸が苦しそう」「反応が鈍い」といった場合は、速やかに動物病院へ連絡し、受診するようにしてください。

また、元気があっても体重が減り続けている場合は、緊急性が高くないように見えても検査が必要になるケースもあります。

 

動物病院で行う検査|全身を見て体重減少の原因を調べる

動物病院では、体重がいつから、どの程度減っているのかを確認します。受診前に次の情報を整理しておくと、原因を考える手がかりになります。
・現在と以前の体重
・体重が減り始めた時期
・1日に食べている食事の量と内容
・飲水量や排泄の変化
・服用している薬やサプリメント

正確な量が分からない場合も、以前との違いや気づいた変化をお伝えください。これらの情報をもとに、身体検査や必要な検査を進めます。

身体検査(視診・触診・体重測定)では、体格や筋肉量、口腔内の状態、リンパ節の腫れなどを確認します。また、胸部や腹部に異常がないか、関節や歩き方に変化がないかも丁寧に診ていきます。

さらに、年齢や症状に応じて以下の検査を組み合わせることがあります。

・血液検査:貧血や炎症、血糖値、肝臓・腎臓の状態などを確認する
・尿検査:尿の濃さや糖、たんぱく質、出血の有無などを調べる
・便検査:寄生虫や消化状態などを確認する
・レントゲン検査:胸部や腹部、骨などの状態を確認する
・超音波検査(エコー):肝臓、腎臓、消化管などの状態を観察する
・甲状腺ホルモン検査:主に高齢の猫で甲状腺機能亢進症が疑われる場合に検討する

すべての犬・猫に同じ検査を行うわけではありません。診察で得られた情報から疑われる原因を整理し、検査の必要性や犬・猫への負担を考えながら、検査内容を検討します。

また、かかりつけの動物病院を受診していると、過去の体重や体格、検査結果と比較でき、飼い主様だけでは気づきにくい変化も把握しやすくなります。
予防接種や健康診断、定期通院などの機会に体重の推移を確認し、小さな変化や気になることも気軽にご相談ください。

健康診断についてはこちらで解説しています
ペットドック(診療案内)についてはこちら

 

まとめ|体重の小さな変化も早めの相談につなげましょう

体重減少に気づくためには、定期的な体重測定が役立ちます。
大型犬や動いてしまう犬・猫など、家庭での体重測定が難しい場合は、動物病院で測定できますので、お気軽にお声がけください。

「受診するほどか分からない」という段階でも構いません。「よく食べているのに体重が減っている」「少し痩せてきた気がする」といった変化があれば、当院までご相談ください。
わずかな体重の変化も大切な手がかりとして捉え、全身の状態を丁寧に確認しながら、飼い主様と一緒に原因を探っていきます。

 

🐾監修者情報
監修:パル動物クリニック 院長 伊藤 祐典
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