「うちの子、なんだか足を引きずっているみたい…」
「最近、猫の歩き方がおかしい気がする」
そんな愛犬や愛猫の歩き方の異変に気づいたとき、飼い主様はとても心配になりますよね。
犬や猫が足を引きずったり、不自然な歩き方をしたりする状態を、専門的には「跛行(はこう)」と呼びます。
この足の違和感の原因は、一時的な打撲や捻挫といった軽度なものから、関節の慢性疾患、さらには全身に関わる深刻な病気まで非常に幅広くあります。
この記事では、歩き方の異変が起こる原因、受診のサイン、年齢別の注意点や診察の流れについて、わかりやすく解説します。

犬や猫の歩き方にあらわれる主なサイン
足の痛みや異常は、以下のようなサインから気づけることがあります。
✓ 足を引きずるようにして歩く
✓ 片足を地面から浮かせて歩いている
✓ 足を地面につけたがらない
✓ 以前に比べて歩幅が狭くなった
✓ 寝起きなど、立ち上がるまでに時間がかかる
✓ 階段や段差、ソファへの上り下りを避けるようになった
✓ 散歩の途中で立ち止まったり、歩きたがらなくなったりする
✓ 猫がキャットタワーなどの高い場所へ上がらなくなった
✓ 特定の足先を頻繁になめたり、触られるのを極端に嫌がったりする
これらのサインが見られたとき、とくに注意したいのが「足のつき方」です。
たとえば「足を完全に地面につけない」という場合、骨折や強い炎症、骨の深刻な異常など、非常に強い痛みを感じているケースが疑われます。
一方で「少し足はつけるけれど、かばうようにしてヒョコヒョコ歩く」という場合は、靭帯や筋肉、関節などの軟部組織に問題が起きているのかもしれません。
さらに、足の症状だけでなく「元気や食欲が落ちている」「体重が減ってきた」「体に小さなしこりがある」「排尿の様子がおかしい」といった全身の症状が伴う場合は、足そのものだけでなく、別の隠れた病気が原因で歩き方に異常が出ている可能性もあります。
年齢別に考える原因|若齢・成犬成猫・高齢で見方が変わる
犬も猫も全年齢に共通して多いのは骨折です。骨折や重度の炎症では激しい痛みを伴うため、足を完全に浮かせる歩き方になります。
一方で、年齢によって起こりやすい病気やケガの傾向は少しずつ異なります。ここからは、若齢・成犬成猫・高齢の時期に分けて、注意したい原因を見ていきましょう。
若齢期(子犬・子猫期)に多い原因
若い時期は、成長期特有の構造的な問題にくわえ、活発に動くためにトラブルが多く起こりがちです。
・捻挫、打撲、筋肉の損傷:激しい遊びやジャンプ、転倒などによって起こる。
・膝蓋骨脱臼(パテラ):膝のお皿が外れてしまう病気。好発犬種の小型犬に多く、若齢期から気づかれやすい。
・大腿骨頭壊死(レッグ・ペルテス病):太ももの骨の頭が壊死してしまう病気
とくに「大腿骨頭壊死」は当院でも2〜3年に数件は診断する機会があり、決して珍しい病気ではありません。
成犬・成猫期に考えられやすい原因
身体の発育がひと段落する成犬・成猫期。生活習慣や運動量が安定してくるとともに、激しい運動による負荷や、日々の生活の蓄積によるトラブルが増えてきます。
・靭帯損傷:膝の中にある重要な靭帯が切れてしまう「前十字靭帯断裂」などが多い。
・慢性的な関節炎:関節に負担がかかり、痛みや炎症が起こる。「動き出しが遅い」「段差を嫌がる」など徐々に変化があらわれることも多い。
・爪の割れや足裏のケガ・皮膚トラブル:伸びすぎた爪が肉球に食い込む、肉球に傷ができる、指の間に炎症が起こるなど、足先の小さなトラブルでも歩き方が変わることがある。
また、体重の増加によって関節へかかる負担が増し、歩き方がおかしくなるケースや、過去に経験したケガが影響することもあります。
高齢(シニア期)に考えられやすい原因
シニア期に入ると、骨や関節の変形、あるいは全身性の疾患が原因となって歩行に影響が出始めます。
・変形性関節症:長年の関節への負担から起こり、慢性的な痛みや加齢に伴う筋力低下も重なって歩き方が変化する。
・腫瘍性疾患:骨や関節自体に腫瘍が発生したり、内臓系の腫瘍が骨へ転移したりするケースで、足に影響が及ぶ。
「歩き方がおかしいだけなのに腫瘍?」と意外に思われるかもしれませんが、全身の疾患と関係するケースもあるのです。
足だけの問題とは限らないケース|腫瘍・骨転移・全身疾患にも注意
足を引きずっているからといって、その原因が必ずしも整形外科領域の骨や関節、筋肉などの「足の局所的な問題」だけとは限りません。
骨自体に発生する「骨肉腫」や、骨へ転移しやすい膀胱がん・腎臓がんなどの「泌尿器系の腫瘍」は、骨がもろくなったり溶けたりするため、強い痛みや骨折を起こしやすくなります。
もちろん、足を引きずる症状のすべてが重い病気につながるわけではありません。腫瘍や骨転移が原因となるケースは、決して多いものではないため、必要以上に不安になる必要はありません。
ただし、「よくある足のトラブルだろう」と軽視せず、原因を確認しておくことが、愛犬・愛猫の健康を守るうえで大切です。
当院では「犬猫がんセンター」を併設しており、がんや腫瘍に関する専門的な知見を日々の診療に活かしています。
実際に、「後ろ足の様子がなんとなくおかしい」というご相談をきっかけに詳しく検査を行ったところ、腫瘍が見つかったケースもありました。
足の異常は、一見すると腫瘍とは関係がなさそうに見えることもあります。しかし当院では、重大な疾患のサインを見逃さないよう、さまざまな可能性を視野に入れて細やかに診察・検査を行っています。
動物病院で行う診察と検査|診断から紹介までの流れ
動物病院では、歩き方の原因を特定するために以下のような流れで段階的に検査を進めていきます。
1. 問診
問診では、飼い主様から日々の様子やご不安な点などを詳しくお伺いします。
以下のような内容をお尋ねすることがあります。
・いつから歩き方が変わったのか
・突然症状が出たのか、それとも少しずつ悪化してきたのか
・転倒やジャンプ、ケガなどの心当たりはあるか
・どんな場面でとくに痛そうにしているか
・元気、食欲、体重、排尿の様子に変化はないか
・過去に大きな病気や腫瘍の治療歴はあるか
可能な範囲でメモしてお持ちいただくと、原因の特定に役立ちます。
2. 身体検査・触診・歩行検査
歩き方や足のつき方を観察し、関節の動き、腫れ、熱感、痛みの反応などを確認します。
あわせて、左右の筋肉量や爪・足裏・皮膚の異常がないかもチェックします。
3. レントゲン検査
骨折や脱臼、関節の変形、骨の異常などを確認します。
必要に応じて、腫瘍性疾患を疑う骨の変化がないかも慎重に見極めます。
パル動物クリニックでの対応について
当院では、足のトラブルに対して、重大な疾患を見落とさない視点を大切にしながら、身体検査やレントゲン検査による初期診断を丁寧に行っています。
院長は画像診断を強みとしており、レントゲン画像の小さな変化も見逃さないよう確認し、痛みの原因を慎重に探ります。
また、高度な手術や専門的な治療が必要と判断した場合は、専門の診療施設へスムーズに連携し、その後の経過観察や日常生活のケアは当院で継続してサポートします。
足の異常は、段差からの飛び降りやつまずき、遊んでいる最中のひねりなど、日常の中でよく見られる症状です。碧南エリア近隣の飼い主様にとって、まず相談できる身近なホームドクターとして、当院を安心して頼っていただければ幸いです。
まとめ|歩き方の違和感は、早めに原因を確認しましょう
歩き方の違和感や、足を地面につけない様子が続くときは、痛みや不調を抱えているサインかもしれません。
また、「好きだった運動を嫌がる」「段差を避けるようになった」といった何気ない変化の中に、重大な疾患が隠れていることもあります。
当院では、こうした小さな異変を見逃さないよう、歩き方や全身の状態を丁寧に確認しながら診察・検査を行っています。
「様子を見ていいのかな」と不安を抱えたままにせず、ぜひ早めにご相談ください。愛犬・愛猫の苦痛をできるだけ早く取り除けるよう、一緒に原因を確認していきましょう。
🐾監修者情報
監修:パル動物クリニック 院長 伊藤 祐典
院長メッセージ
~小さなお困りごとから専門的な治療まで、安心してご相談ください~
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